2023-01-23
レセプト返戻とは?レセプトが返戻されてしまう理由や再請求方法を解説
保険請求を行う上で必要不可欠なレセプトの作成。このレセプトに不備があった場合は返戻され、再請求を行わなければなりません。しかし、初めてレセプトを取り扱う方にとっては、非常に難しく理解しにくいこともあるでしょう。
そこで当記事では、レセプト返戻について「レセプトとは」「レセプト返戻について」「返戻される理由」「再請求方法」など5つのポイントを解説します。ぜひ最後までご覧ください。
この記事のポイント
- レセプトは医療機関が保険者に請求する診療報酬の明細書である
- 返戻は記載不備や誤りで差し戻されることであり、項目修正・減額調整が行われる「査定」とは別物
- 返戻の主な原因は「誤った請求」「事務手続きのミス」「保険法のルール違反」の3つに整理できる
- 再請求には2年の時効があるため、返戻通知を受け取ったら速やかに修正・再提出することが大切
目次
01そもそもレセプトとは?
レセプトとは診療報酬明細書とも呼ばれ、医療機関が健康保険組合(以下、保険者と呼ぶ)に対して請求する診療報酬の明細書のことです。
「日付」「患者氏名」「健康保険証の記号番号」「保険者名」「傷病名」「診療内容」「医療機関名」などの記載項目があり、診療に関わる情報を漏れなく記載する必要があります。
このレセプトは健康保険が適用となる治療を行い、保険者へ請求するために必須となるものです。保険診療を行う医療機関は必ず作成しなければなりません。
02レセプト返戻とは
本題であるレセプトの返戻についてご紹介します。返戻がどのようなものか、よく言われる査定との違いは何かなど、レセプトに関わる情報をまとめました。
レセプト返戻とは?査定との違い
レセプトの返戻とは、保険者や審査支払機関に対してレセプトを提出した後に、審査で「不備」や「誤り」があり差し戻されることをいいます。
例えば、記載不備で医療行為が適用される診療かどうかの判断が難しい場合や、そもそも誤った書き方をした場合に返戻が行われます。返戻された際には、理由が書かれている「返戻付せん」を確認し、不備や誤りを修正することで再請求が可能です。
なおこれは紙レセプトで請求を行った場合であり、電子レセプトの場合は、オンラインで返戻のやりとりが行われています。
一方でレセプト査定は返戻とは異なり、保険者や審査支払機関が、再請求のフローを行わずに項目修正や減額・減額調整を行ったうえで報酬を支払うことを指します。レセプトを提出して査定が行われた後、適切でないと判断された場合に実施され、「増減点連絡書(通知書)」と呼ばれる文書が医療機関に送付されます。
査定が行われたレセプトに対しては再請求を行えませんが、どうしても納得できない場合は再審査の申し立てが可能です。
レセプトの作成は慎重に行わなければならず、最悪の場合、予定していた報酬から下がってしまうケースもあります。経営に関わる重要なポイントなので、間違いがないようにレセプトを作成しましょう。
レセプト返戻を行う2つの機関
レセプト返戻を行っているのは、「社会保険診療報酬支払基金」と「国民健康保険団体連合会」の2つの審査支払機関です。それぞれ取り扱う保険者が異なるため、認識しておきましょう。
「社会保険診療報酬支払基金」は、協会けんぽ・健康組合・共済組合・公費実施機関などの保険者の審査を担当しています。再請求の際は、月遅れレセプトとして再び社会保険診療報酬支払基金へ提出します。その後、社会保険診療報酬支払基金が協会けんぽや健康組合に対して再請求を行う流れです。
一方、「国民健康保険団体連合会」は保険者である市区町村や国民健康保険組合から委託を受けて審査や支払いを行っている機関です。審査や返戻に関しては、国民健康保険団体連合会に設置されている「国民健康保険診療報酬審査委員会」によって実施されています。
レセプト返戻時に送られてくる書類
レセプト返戻時に送られてくる書類は、機関によって異なります。それぞれ送付される通知書は以下の通りです。
| 社会保険診療報酬支払基金 | 国民健康保険団体連合会 |
|---|---|
|
・当座口振込通知書 ・受付エラー連絡票 ・増減点連絡書 ・返戻内訳書 |
・受付エラー連絡票 ・突合点検結果連絡書 ・増減点連絡書 ・返戻内訳書 ・照会付箋 ・月遅れ請求分に係る増減点返戻通知書 |
社会保険診療報酬支払基金の場合は「増減点連絡書」と「返戻内訳書」の2つが特徴的です。一方、国民健康保険団体連合会の場合は「増減点返戻通知書」と呼ばれるものが送られてきます。
それぞれの書き方や詳細については、下記サイトをご参照ください。
03レセプトが返戻されてしまう理由
できれば一回の請求でレセプトの審査を通し、再請求をせずに済ませたいものです。そのためには、返戻される理由を知っておかなければなりません。返戻対象となる主な理由は、以下の3つに整理できます。
レセプトが返戻される主な理由
- 誤った請求:保険適用外の症状に対する請求や、診療報酬点数の誤りなど
- 事務手続きのミス:保険証の番号・記号の誤記や、署名・押印の漏れなど
- 保険法のルール違反:医科診療と柔道整復師の保険診療を併給した場合など
誤った請求を行ってしまった場合
レセプトが返戻される理由の1つに、誤った請求を行っているケースがあります。このケースで特に多いのが、柔道整復師による請求です。柔道整復師も医療機関同様に受領委任払いが適用できる職種です。
受領委任払いとは、施術にかかった費用を患者様から直接いただくのではなく、施術者が立て替えて保険者に対して請求するものです。
ただし柔道整復師は、保険が適用となる症状とならない症状が制限されていたり、通院期間に関するルールが設けられていたりと、厳しい条件があります。これらの条件をしっかりと確認したうえでレセプトを作成し、請求しましょう。
その他、柔道整復師に限らず、患者様の症状と施術内容が一致しないケースや、診療報酬点数の間違いなども、レセプトが返戻される原因です。いずれも正しい知識を身につけたうえで、保険請求を行わなければなりません。
誤記などの事務手続きでミスをした場合
レセプトの返戻において一番多いケースは、番号・記号などの表記を間違えてしまったり、署名がなかったりといった事務手続きのミスです。
例えば、患者様の保険証の番号記入は、事務手続きミスにつながりやすいポイントの一つです。保険証は最低でも月に1回は必ず提示してもらい、内容に変更がないか確認しましょう。仮に保険者が同じ場合でも、番号だけ変更されているケースがあるため、念入りな確認が大切です。
また障害などにより署名が難しい場合、代筆で署名できますが、被保険者の押印が必要なことを覚えておきましょう。
そのほか、レセプトに関わる細かい注意事項は、各保険者のルールを確認してください。
保険法などのルール違反をした場合
最後にレセプトが返戻されるケースとして、保険法などのルールに違反した場合があります。
例えば、保険法では医科診療と柔道整復師による保険診療の併給は認められていません。また、医科優先の原則によって、医科による請求が優先されます。
もちろん、被保険者が医師にかかっている期間であっても、柔道整復師の施術を受けることは可能です。しかし、この場合は自費診療となるため注意しましょう。
その他、通院していなかったとしても、薬をもらっている期間が重なっていると併給扱いになるため、医科診療が優先されます。患者様はこのようなルールを知らずに来院されている場合があるので、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
04返戻されたレセプトの再請求方法
レセプトが返戻された場合、どのように再請求を行えばよいのでしょうか。ここからは「返戻されたレセプトの再請求の流れ」「紙レセプトか電子レセプトによる請求方法の違い」「その他再請求に関わるルール」の3点をご紹介します。
レセプトを再請求するまでの流れ
レセプトが返戻されるタイミングから、どのような流れで再請求を行うかを順番に解説します。
- 審査支払機関からレセプトが返戻される
- 返戻時の書類を確認し修正
- レセプトを再請求
基本的には、上記の流れで再請求を行います。
仮に1月にレセプトを提出し請求を行ったとしましょう。このレセプトは2月中に審査支払機関と保険者によって審査され、3月初旬頃を目処に返戻が行われます。その後、3月10日までに月遅れレセプトとして再請求し、問題がなければ4月に診療報酬が支払われます。
紙レセプト・電子レセプト別の請求方法
レセプト請求を行う際は、紙レセプトと電子レセプトの2種類の方法があります。
紙レセプトで請求を行った場合、返戻があった際にレセプトの写しと返戻内訳書を確認し、追記・修正を行います。追記・修正を行う際は、レセプトの写しを印刷するのではなく、返戻されたものをそのまま使いましょう。もしどうしても印刷して使わなければいけない場合は、返戻時に送られてきた写しと一緒に添付する必要があります。
一方、電子レセプトの場合は、審査支払機関からダウンロードしたレセプトデータをレセプトコンピューターに出力することで、オンライン上のやりとりだけで完結させられます。レセプトコンピューターによっては出力方法が異なるため、各メーカー等に確認してから行ってください。
その他、修正については紙レセプト・電子レセプトともに地方によって運用が異なる場合もあります。疑問が生じた際は必ず審査支払機関や保険者に問い合わせしましょう。
返戻レセプトの再請求期限を守ること
療養費に関する請求期限は、健康保険法第193条によって「保険料等を徴収し、又はその還付を受ける権利及び保険給付を受ける権利は、これらを行使することができる時から二年を経過したときは、時効によって消滅する」と定められています。
2年の時効には返戻期間も含まれる
この2年とは、患者様が受診して料金を支払った日から計算され、返戻に関わる期間も含まれます。返戻通知が届いてから対応していると、時効までの猶予が思った以上に短くなることがあるため、早めに請求・再請求を行うことが大切です。
2022年10月から返戻再請求がオンライン化される方針
紙レセプトと電子レセプトによる請求方法をお伝えしてきましたが、2022年10月からは返戻の再請求はオンライン化とする動きがみられています。
厚生労働省は2021年1月22日に、審査支払機能の見直しを行い、2022年10月には医療機関等における返戻再請求をオンライン化すると発表しました。
紙レセプトを減少させる動きがあり、今後オンライン申請ができるようにシステムに機能を追加するなどの対応が求められてくるでしょう。返戻再請求のオンライン化については、下記サイトをご確認ください。
05まとめ
レセプトの返戻時にどう対応するかを考えることも大切ですが、それ以上に、請求時からミスをできるだけ減らし、余計な手間をかけないようにすることが重要です。
同時に、事務作業の効率化を図りながら、適切にレセプトを作成しなければいけません。常に請求時から間違いのないレセプト作成を心掛け、返戻が行われた際にはしっかりと追記・修正できるよう、知識を身につけておきましょう。
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